仕事始めと仕事初め、その違いと使い分けの方法を紹介

2019年3月27日

仕事始めとは何なのか

仕事始めとは、ビジネスシーンにおいて新年が始まってから初めて仕事をすることを指しています。
新しい年になって初めて仕事に取り掛かるということから新年のあいさつを兼ねていることも多いですし、その年1年間を無事に過ごせるように・仕事が安泰に進められるようにと言う願いを込めている人も少なくありません。

ほかにも去年仕事の調子が悪かった人たちにとっては去年のことをリセットするタイミングとしても用いられていて、今年1年で仕事が成功するようにと気合を入れる人も多いようです。

このような点からビジネスの現場では仕事始めが重要なものだと考えられていて、業種や職種に関係なく1年の始まりの日として認識されています。

そのため企業によっては仕事始め式などのイベントが開催されることもあり、正月休みが続いて緩んでしまった気分や意識を引き締める日として利用されているのです。

ちなみに役所などの公務員の場合は、仕事始めと言わずに御用始めと言われています。
これは1873年に公務員の休日を定める法令が制定されたことから言われ始めた言葉で、現在でも慣習的に用いられることがあるようです。

ただ意味合いとしては仕事始めも御用始めも同じものであり、徐々に御用始めと呼ぶ公務員も少なくなってきているとされています。

そしてこの御用始めが、実は仕事始めの意味や言葉の由来だと言われています。

 

始めと初めの違いについて

そんな仕事始めに関して疑問とされているのが、「仕事始め」なのか「仕事初め」なのか使い分けがよくわからないという点です。
特に社会に出て間もない新社会人の場合は「始め」と「初め」のどちらを使えばいいのかわからずに迷うことも少なくありませんし、ビジネスシーンでよく用いられる言葉なので誤用して恥をかくことは避けたいと考えている人も多いと言われています。
では「始め」と「初め」の違いと使い分けについてどのように考えればいいのかというと、ポイントとなるのはそれぞれの言葉の意味です。

「始め」は何か物事を始める時に用いられる言葉で、英語にすると「start」のことを指しています。つまり物事の起こりや行動を意識したものとして利用されていて、何らかの物事や行動に繋げる言葉とされています。

このため「しごとはじめ」の場合はこれまでも続けていた仕事と言う物事や行動を新しい年になってからスタートすることから、「仕事始め」となるのです。
ちなみに「始め」にはほかにも、第一のものとして、という意味合いもあります。このため「〇〇をはじめとして」の場合は「〇〇を始めとして」と記します。

一方の「初め」は、何か物事を初めて行う時に用いられる言葉だとされています。
英語にするとこちらの場合は「first」であり、順序の一番前のものであったり初期の段階のことを指していることも多いです。

このため「初め」は物事や行動ではなく時間を意識したものとして利用されることが多く、仕事に関連して使用する場合には「その仕事を初めて行う」という意味合いになってしまいます。
このため「仕事初め」とすると本来の意味と異なってしまうため、こちらは誤用となるので注意が必要です。

 

公用文でも「始め」が正しい

このように仕事始めの意味合いから、ビジネスシーンでは「仕事始め」と記すのが正しいとされています。
中には「仕事はじめ」や「仕事初め」と記す人も少なくないようで、中には「仕事初め」の方が正しいという意見もあるようです。

その理由としては、仕事始めが新年に初めて仕事を始めることである点から、その年に初めて仕事をするのであれば「初め」でも間違ってはいないのではないかという内容だと言われています。

ほかにも「書初め」の流れから、「仕事初め」でも間違っていないのではないかと言う意見も見受けられます。

そこで気になるのが、公用文ではどのように記されているのかという点です。
公用文は文化庁の公用文書き方の基準資料に基づいた基準とされていて、漢字をはじめとして言葉の使用に関しての具体的な取り扱い方針を定めたものを言います。

このため公用文に指定されているものが原則として正しい使い方とされるため、使い分けがわからない場合やどの漢字を使えばいいのか迷った時には公用文を確認することがおすすめです。

そんな公用文での仕事始めの取り扱いは、「仕事始め」だとされています。
ちなみにひらがなでの表示は推奨されていないものの使ってはいけないとされているわけではないので、ビジネスや公共の場で用いる際には「仕事始め」または「仕事はじめ」とするのが正解となっています。

 

新年の仕事は「始める」もの

このように一見するとどちらでも意味が通じそうな「仕事始め」は、その意味合いや公用文の取り扱いによって「始め」と記すことが正しいとされています。

このため基本としては「仕事始め」と表記する必要があるのですが、中には「仕事初め」と表記する人も少なくありません。
誤用ではありますが、言葉の意味は同じなのであまり難しく考えないことも必要です。