一年の吉兆を占う初夢とは

2019年3月27日

初夢とはいつの夢か

夜寝るときに夢を見る人は数多くいます。夢には、様々な俗説や風習があり、夢を使った占いもあります。

見る夢の内容によって、自身の性格や望むものを知る人もいれば、これからの吉兆を占う人もいるでしょう。

そのような夢の中で、新年に見る夢である初夢は、よく知られている占いのひとつですよね。

しかし、初夢に関しては、聞いたことはあるけれど、具体的にいつの夢を指して言っているのかわからないという人も多いでしょう。

また、どのような夢を見たら運が良いと感じるのかもわかりにくいです。

まずは、初夢がいつの夢を指しているのかを紹介します。

初夢は、定義としては、新年の最初に見る夢・新年のある夜に見る夢などとされており、この夢で見た内容によって一年の吉兆を占うという風習があるとされています。

この初夢について、歴史的に最初に出てくるのは、鎌倉時代の書物です。

平安時代の末期から鎌倉時代に活躍していた歌僧である西行法師によって作られた歌集である「山家集」の記述が文献的な記述としては最も古いものとされています。

この文献によれば、暦上における新年とは関係なく、節分から立春の間に見る夢を初夢と定義しています。

この時代では、新年の始まりを立春としてとらえていたことから、初夢もこの時期の夢とされていたようです。

その後、初夢の定義は時代によってさまざま変遷していくこととなります。

まずは、立春が新年の始まりという考えから、暦上の元旦を新年の始まりと考えるようになりました。

このことから、単純に新年になる最初の夜に見る夢を初夢である、つまり大みそかから元旦にかけてみる夢が初夢であるととらえている人が多くいますが、必ずしもそうとは限りません。

初夢の定義としては、「大みそかから元旦」、「元旦から二日」、「二日から三日」にかけてみる夢の3つの説が江戸時代には現れていました。

江戸時代の前半では、「大みそかから元旦」にかけてみる夢が初夢であるという説が有力でしたが、江戸時代の中期以降には「二日から三日」の説が主流となっていました。

「大みそかから元旦」にかけてが初夢であるという説の由来は、そのまま新年の初めに見た夢であるからということが由来です。

「元旦から二日」にかけてが初夢であるという説の由来は、大みそかから元旦にかけては夜に眠らないという風習があったことだとされています。

そして、「二日から三日」にかけてみる夢の由来は、はっきりとした説はわかってはいませんが、書初めや初商い、初夢の風習に必要な道具の販売日などの多くが新年二日に行われていたことが原因であるとされています。

これらの原因や由来を挟み、明治に行われた改暦の後には、「元旦から二日」にかけてみる夢を初夢とする人が多くなり、現在でもこの日の夢を初夢とする人が多いです。

 

縁起の良い夢

初夢に関しては、いい夢を見るとその年の運が良いという言い伝えがあります。

また、初夢で見ると良い夢とされている「一富士二鷹三茄子」という言葉があります。

これは初夢に見ると良いものを表したことわざであり、さまざまな由来があります。

ひとつは、江戸時代に流行った民間信仰である富士講の神社の周辺の名産がなすであったことから由来しているというものもありますが、最も知られているものは徳川家康のお膝元にちなんでいるというものです。

徳川家康のお膝元の駿河で高いものから順に、「富士山の高さと大きさ、鋭い足で掴み取る鷹、何事も成すという茄子」から来たという由来が最も有名です。

また、これには続きがあり、「四扇五煙草六座頭」となります。これにもいくつかの由来があります。このほかにも縁起の良い夢というものはいくつかあります。

富士山の夢や日の出の夢、白蛇や鯉・龍などの動物の夢も縁起の良い夢です。

いっけん縁起の悪い夢と思われる夢も良い夢の場合があります。火事の夢は、縁起が悪いと感じるものではありますが、燃え盛る炎は物事の繁栄を表しているため、良い夢のひとつとされています。

また、血を流す夢も、初夢としてみたならば気分が悪くなるものですね。

しかし、勢いよく噴き出す血の夢は、現状がつらくとも、これから物事が好転することを示す夢として縁起の良い夢です。

 

初夢にかかわる風習

初夢にかかわる風習はいくつかあります。初夢は、見て縁起が良かったと思うだけではありません。

いい夢を見るための風習や、縁起の悪い夢を見てしまった場合の対処法といった風習もいくつかあるので、知っておくと安心できるでしょう。
初夢にかかわる風習として知られているもののひとつは、七福神が乗った宝船の描かれた絵を枕の下に敷いて寝るというものです。

室町時代ごろから始まった風習であり、江戸時代には宝船の絵を売るために二日から働き始める人もいたほどです。

宝船の絵とともに「長き世の遠の眠りのみな目覚め波乗り船の音のよきかな」という回文の歌を書いて枕の下に敷くと良いとされています。

この回文は、寝る前に3回唱えると、良い夢を見ることができるというおまじないにもなっています。
初夢といっても、必ず良い夢を見ることができるというわけではありません。悪い夢を見た際の対策も風習としてあります。

宝船の絵を敷いていたのならば、翌朝川に流して縁起直しをするものです。

また、あらかじめ宝船の絵の裏に獏の絵や字を書いておくという方法もあります。

これは、獏という夢を食べる架空の動物が、悪い夢を食べてくれるということから来ています。

もし、宝船の絵を敷いていなかったのならば、朝起きてから「昨夜の夢は獏に差し上げました」と3回唱えるというものが知られている風習です。

このほか、夢の内容は人に話すと実現しないということから、誰かに話してしまうという方法もあります。

縁起の悪い夢が総じて悪い兆しというわけではありません。悪い夢は、逆にいいことの暗示でもあるとされているので、不安に思う必要はないでしょう。

 

初夢で気持ちの良い一年を

初夢は、元旦から二日にかけてみる夢で、「一富士二鷹三茄子」が縁起が良いとされています。

古くからある風習ではありますが、あまりとらわれる必要はありません。初夢は占いの一種であり、どのような夢を見たとしても、ひとつの指標であり、前向きに過ごすことが重要です。風習などを試して、楽しい夢を見て初夢とお正月を楽しんでください。