マンションの修繕積立金は、安ければ良いというものではありません

2018年6月10日

マンションを購入したら、毎月の支払は住宅ローンだけではなく、管理費や修繕積立金も必要であることはご存知だと思います。

金額が少ないほど、家計の負担が少なくてよいと思いがちですが、管理費や修繕積立金はマンションのメンテナンスに必ず必要なもの。

修繕積立金不足が原因で数年後にいきなり値上がりしたり、一時的な支出が必要となるケースも多くあります。

ですから、入居時の修繕積立金は、少なければよいというものではないのです。

 

管理費と修繕積立金の違いは?

 

管理費

管理費とは、マンションの共用部分にある設備などの維持管理に充てる費用のことを言います。

マンションの設備を点検する費用や、共用部分の清掃費用や水道光熱費、管理人の人件費などが管理費に含まれています。

このように、マンションの住人が日々快適に生活できるよう、共用部分を維持するために必要な費用をマンションの購入者で出しあうのが「管理費」なのです。

修繕積立金

修繕積立金は、建物の診断や修繕工事を行うために充てられる費用のことです。

数十年の周期で想定される大規模な修繕工事の計画を立てて、その総額をまかなえるように割り出した額が、修繕積立金として設定されます。

管理費と修繕積立金は混合しがちですが、管理費は日常的な管理に、修繕積立金は計画的な修繕に必要な金額であると覚えておくとよいでしょう。

 

修繕積立金の適正な価格は?

 

マンション購入者の毎月の負担を抑えることで販売を促進したい、という分譲する不動産会社の思惑もあって、毎月の修繕積立金の額を低めに設定する傾向があります。

多くの新築マンションでは、購入時に「修繕積立基金」としてまとまった額を集めることで備えていますが、それでも修繕積立金が不足するという事態が起きてくるのです。

 

そこで知っておきたいのが、修繕積立金の適正価格です。

国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を提示しているので参考にしましょう。

 

<例えば>

6階建て、建築延床面積約6000m2で、専有面積70m2のマンション(機械式駐車場なし)の例で試算してみると、

下表1の平均値202円×70m2=14,140円が月額の修繕積立金の目安となります。

最も安い140円で試算すると、9,800円。

30年間に積み立てる累計額は、約509万円(平均値)や約353万円(幅最低値)です

 

表1「1㎡あたりの月額修繕積立金額」

 

※この「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は収集サンプルが84しかなく、平均値が必ずしも目安と直結するわけではありません。そのため、「事例の3分の2があてはまる範囲」も参考にすべき数値として示されています。

 

機械式駐車場がある場合は、修繕工事費用がかさむので、別の算出方法で割り出した額を加算する必要があります。

※「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」参照

 

しかしこのガイドラインでは、自分で試算して妥当かどうか判断するには材料が不足していると言えます。

直接不動産会社に問い合わせて、ガイドラインとの違いについて説明を聞くほうが適切でしょう。

 

値上げを想定した資金計画

 

マンションは、どうしても物件価格と住宅ローンの返済額ばかりに目が行きがちです。

しかし、修繕積立金や管理費も毎月支払うとなると、長期的にはかなり大きな額になります。

しかも、修繕積立金や管理費が安く設定されている場合には、将来の値上げも考えられます。

試算した適正価格よりもかなり安くなっているのであれば、将来の値上げを見越しておく必要があるでしょう。

可能であれば、目安とするべき金額と実際の費用の差額を、毎月貯蓄しておくと安心かもしれません。