土地の相続登記を義務化へ~私たちにも影響がある?~

近年、所有者の分からない土地が増えています。

これを解消するため、民法と不動産登記法を改正し相続登記を義務化する方針が検討されており、

法務省は、2020年秋の国会には改正案を提出したいとしています。

 

相続登記は現状では義務ではない

勤労の義務・納税の義務・教育を受けさせる義務など、

『これは義務です!』となれば行うしかありませんよね。

 

でも、『義務ではありません』となると?

しかもそれが、手間とお金のかかる事だったりすると?

「やった方が良いんだろうけど、やらないでおこうかな・・・。」

となってしまいがちですよね。

 

不動産の権利関係の登記は現状では義務ではありません。

 

また、不動産を購入した際には、不動産登記をしなければ他の者に対して不動産の所有権を主張することができませんが、

相続で不動産を譲り受けた場合は、不動産登記をすることなく他の者に所有権を主張することができます。

 

さらに相続登記をするには、続人全員の同意を求めるなど手続きが煩雑で司法書士費用もかかります。

そのため、相続登記を怠るケースが多いようです。

 

所有者不明の土地が多いとなぜ困る?

土地のイメージ画像です

所有者不明の土地が多くなるとなぜ困るのでしょうか。

 

管理ができず環境が悪化

私たちの身近な問題でいえば、土地が放置されることで荒れ放題になり周辺環境が悪化したり、衛生面や治安の不安が生じるといったことがあります。

そうした問題を解決するために国や自治体が対処しようとしても、所有者が分からない土地を勝手に管理することは現在の法律ではできません。

 

災害時の復興の妨げに

所有者不明の土地は、東日本大震災後の復興事業で用地買収の妨げとなりました。

また災害時に限らず、土地の再開発や住環境の整備、公共事業を行う時にもやはり妨げとなります。

 

所有者不明で損失も

本来土地には固定資産税という税金がかかりますが、所有者不明ではその徴収はできません。
また、国が所有者を探すこと自体にもコストもかかります。

 

この他にも、実は私たちに直接かかわる問題もあるんです!

 

相続登記をしないことのデメリットは私たちにも

相続登記は義務ではありませんが、相続登記をしないことで私たちにもデメリットが生じる場合があります。

 

登記をしないと売却できない

相続で不動産を譲り受けた時には、不動産登記をすることなく他の者に所有権を主張することができましたが、

相続した不動産を売却する場合には、相続人は自らが所有者であることを証明する必要があり、登記上の名義人になっておかなければなりません。

つまり相続登記をしていないと、その不動産を売却することができないのです。

 

権利関係が複雑に

相続で譲り受けたまま放置されていた不動産を売却しようと考えた際には、相続登記をしなくてはなりませんが、

相続登記をするには「遺産分割協議書」が必要となります。

 

この遺産分割協議書を作成するときには、すべての法定相続人が話し合って署名・押印することとなっています。

しかし、相続登記をしないまま放置されていると、年月の経過とともに親族の数が増え、法定相続人の数もどんどん増加してしまうでしょう。

こうなってくると、遺産分割協議書を作って相続登記をすることは大変困難になってしまいます。

自分の子や孫の代に複雑な不動産登記手続きを残さないためにも、早めに相続登記をしておきたいものです。

 

差し押さえの可能性も

もしも相続人のなかに借金をしている人がいて支払いが滞っているとすると、債権者に不動産の相続持分を差し押さえられてしまうかもしれません。

かりに遺産分割協議で土地は自分一人で相続したことになっていたとしても、相続登記を済ませていないと、不動産を差し押さえた債権者に対し、それが自分のものだとの主張はできません。

民法909条で『遺産分割の効力は第三者の権利を侵害できない』と規定されているからです。

 

義務化には罰則も?!

相続登記の違反者には罰則を科すという案が出ていますが、

ただ義務化するだけではなく、

・一定期間内に相続登記をした場合は手続きを簡素化して費用を軽減する

・一定の要件のもとで土地の所有権の放棄を認める

といった、相続登記の義務化をより実効性のあるものにするための事項も検討されています。