おせちの地域差まとめ|東西でこんなに違うの?各地の特徴をご紹介

2021年12月31日

おせちを手作りしようとレシピを調べたらしたら、同じおせちなのに「田作り」と「ごまめ」の両方の呼び方があったりと不思議なことがありますね。

そこで今回は、各地で呼び方も中身も違うおせちを日本全国からご紹介していきます。調べいくと、おせち料理に使われる具材が地域により違うなど、面白い事実がわかりました。

北海道のおせちの特徴

北海道のおせちの特徴と言えば、大晦日におせち料理を食べることが北海道の文化として根付いており、他の地域では見られない独特の文化だと言えます。

元旦におせちを食べるわけではなく、大晦日に紅白歌合戦を見ならがらおせち料理を食べ、年越しそばも食べるご家庭が多いのです。元旦よりも大晦日が一番豪華な料理になります。

この北海道ならでは風習は「歳とり(年取り膳、読み:としとりぜん)」という文化に由来します。

年取り膳とは、大晦日の夜に家族そろって豪華な料理を食べながら、その年の終わりを祝い、新しい年の始まりをお祝いするというものです。

年神様に一年間無事に過ごせたことを感謝して、新しい年神様をおもてなしをする意味があります。

また、旧暦では日没後に日付が変わるので、大晦日の夕方から新年を迎えていたことになります。つまり新しい年を迎えたのを祝って12月31日の夜に豪華なお節料理などを食べたそうです。

そのような風習が北海道には今も引き継がれています。

また、北海道のおせちやお正月料理と言えばこのような特徴もあります。

  • 煮物はうま煮ではなく、砂糖と醤油とみりんを使って煮込んだ甘めの煮つけ
  • 茶碗蒸しは甘く、栗が入っている
  • 昆布巻きにニシンが使われる
  • 氷頭(読み:ひず、鮭の軟骨の酢漬けのこと)がなますに入ることがある
  • タイなど縁起物を模した口取り(読み:くちとり、練りきり)を食べる
  • 「なると」のことを「つと」と言う

北海道では鯛が取れないので、縁起物の鯛を口取りで作り、今でも北海道で親しまれています

東北のおせちの特徴

東北エリアのお正月はいちご煮や紅葉漬、カレイの煮付けなど海産物が豊富な場所ならではの料理をよく食べます。

まずは青森県から。青森ではいちご煮をお正月で食べます。いちご煮とは、ウニとアワビの吸物です。赤みがかったウニとアワビの黒とのコントラストが非常に鮮やかだと言われています。また、アワビだけではなくホタテなどの貝も一緒に入れている場合もあります。
お吸い物の具にする他に、炊き込みご飯や茶碗蒸しにしても美味しいです。

秋田ではお正月にハタハタをよく食べます。庄内沖で取れてたハタハタでハタハタ寿司を食べたりして、ハタハタがないとお正月を迎えた気がしないと言うほどです。

岩手の紅葉漬けは三陸で獲れた鮭の身と腹子を醤油漬けにしたもので、その美しさから紅葉漬と言われます。岩手だけでなく三陸で食べる地域もあります。

お正月の宮城のカレイの煮付けを食べるのですが、これは冬のナメタガレイの卵は金色に近く、商売繁盛や子宝の縁起担ぎとして昔から食べられています。

山形では砂糖・醤油・酒で甘辛く煮た鯉のうま煮をお正月やお盆、祝いの席で食べます。鯉は縁起物とされています。

福島のお正月定番メニューといえば、いかにんじんと豆数の子があります。にんじんとするめを細くカットして醤油・みりん・酒で味付けします。豆数の子は、ひたし豆(青大豆)と数の子を醤油やみりん、出汁と漬けた料理です。まめまめしくという願掛けがあり、会津でよく食べられます。

関東のおせちの特徴

関東にも様々なおせちや正月料理があります。

埼玉のくわいは正月やお祝いに欠かせない食材で、おせちにはくわいの煮物が入ります。長い目の見た目が、芽が出ると縁起が良いとされます。特に「青くわい」はブランド食材で特にお正月に食べたいものです。

また、千葉でははぜの甘露煮、茨城では鮒の甘露煮をお正月に食べます

栃木の日光地区ではお正月に水ようかんを食べます。特に年末は水ようかんを買い求める人が多く、和菓子屋さんは大忙しです。

そして関東の祝い肴三種は数の子、黒豆、田作り(ごまめ)で、お醤油は濃い口醤油を使います。

中部のおせちの特徴

中部エリアにも様々なおせちや正月料理があります。

石川の加賀料理にべろべろがあります。お正月や祭礼で食べられます。天草と卵、出汁、醤油、砂糖などで作られ、上品な味付けの綺麗な料理です。

長野は長芋をすりおろし寒天で固めた「長芋ようかん」をお正月に食べます。

静岡ではお正月にブダイの煮付けを食べますが、和歌山の紀南地方もお正月にブダイの煮付けを食べます。

関西のおせちの特徴

関東の祝い肴三種が「数の子、黒豆、田作り(ごまめ)」だったのに対し、関西の祝い肴三種は「数の子、黒豆、たたきごぼう」です。またお醤油は薄口醤油を使います。ごぼうは根をまっすぐ貼る縁起食材として使われます。

また、天下の台所には北海道や東北から干し鱈などが入ってきたので、昆布巻きに身欠きにしんを使ったり、京都では棒鱈の煮物を食べます。

他にも大阪の睨み鯛、和歌山のさんま寿司、奈良の酢ごぼう、滋賀の赤こんにゃくなども正月に食べられます。

中国・四国のおせちの特徴

中国地方の特徴的なおせちと言えば、島根・広島の山間部エリアで食べられるワニのお刺身が有名です。スーパーのお刺身でも「わに」と表示されている生魚は「サメ」のことです。サメのことをワニと呼んでいるんですね。

また、高知のお正月は「皿鉢(さわち)」を食べます。お正月や祝い事などおめでたい時に食べるオードブルのようなものです。大皿に豪華な料理を盛り付け、仕出しで注文することもできます。

九州・沖縄のおせちの特徴

九州や沖縄のお正月はどのような料理を食べるでしょうか。

沖縄では田芋(ターンム)田楽という、沖縄伝統野菜・田芋を甘く味付けた粘りのある田楽です。お正月や祝い事で食べられ、里芋では再現できない田芋の粘りが特徴です、

また、長崎ではお正月にクジラを食べます。太く長く生き抜くクジラは縁起物で、実は北海道の函館でもお正月にクジラを食べる風習があります。

長崎ではクジラの畝須(読み:うねす、お腹部分)や百尋(読み:ひゃくひろ、小腸)の部分をポン酢などで食べます。一方函館ではくじら汁にして暖かく食べます。

まとめ

日本各地のお正月料理やおせち料理をご紹介してきました。クジラやブダイなど同じ食材でも地域によって食べ方が異なるのは興味深いですね

そして日本にはまだまだ地域ごとにお正月料理が多数存在します。料理名は様々ですが、長生きできるように、商売繁盛しますように、子宝に恵まれますようにといった願いが込められており、大切に守っていきたい文化ですね。