夏にを盛り上げるのはこれ!夏に聞きたい曲4選

山下達郎「僕らの夏の夢」

夏は、帰省などドライブの機会も増えますね。車に乗るときは、子どもが飽きないようにDVDをかけるか、子どもが喜ぶ曲をマラソンでかけ続けるといった経験をする人も多いでしょう。

そんなときに聞く曲は、アップテンポで気分が盛り上がるダンスナンバーが良さそうですが、実は、ミディアムテンポなバラードがおすすめなんです。ドライバーが気分を落ちつかせ、安全運転への集中力を保てる効果があるそうですよ。

そんな、家族で夏に聞きたい曲は、2009年に公開されて以来、根強い人気のアニメーション映画「サマー・ウォーズ」のテーマソングの、「僕らの夏の夢」。

80年代後半、山下達郎には夏をテーマにしたヒット曲が数多くありますが、この曲は、初めてアニメとタイアップしたヒット曲です。映画は、高校生の主人公が信州・上田の旧家を舞台に、悪意の人工知能と地球をめぐり攻防する、という近未来的なテーマ。エンディングに流れるこの曲は、大人になった主人公たちがひと夏を振り返り、二人の絆と未来を想う内容の歌詞で、家族で聞きたい名曲です。

細田守監督は大の達郎ファンで、2018年7月公開の最新作「未来のミライ」でもタッグを組むことが発表されました。また夏の定番曲が増えるでしょう。

 

フジファブリック「若者のすべて」

2000年から活躍するロックバンド、フジファブリック。独特のナイーブな歌詞が人気のバンドです。2007年に通算10枚目のシングルとして発表されたロック・バラード「若者のすべて」は、不朽の名作ともいわれる一曲で、現在まで多くのミュージシャンに愛され、スピッツや槇原敬之、柴咲コウなどにカバーされ歌い継がれています。

当時のボーカルで作詞・作曲を担当していた志村正彦が2009年に29歳の若さで急死し、追悼にこの曲が多く流れたほか、著名ミュージシャンが参加するBank Bandの夏のロックフェスでもとりあげられ、フジファブリックのファン以外にも夏に聞きたい曲として広く知られるようになりました。

夏といえば夜空を彩る花火、そして恋人や仲間と繰り出す花火大会ですね。そんな夏の最後の花火大会が終わったあとの、虚脱感と不安が混じったセンチメンタルな気持ちを、ユニークな歌詞とキャッチーなメロディにのせた曲。ブレイクを予感させる才能ある若者の、早すぎる死を惜しんだ世代にとってはもちろん、だれにとっても、大人になったからこそわかる、夏のほろ苦く切ない情感を思い起こさせてくれるでしょう。

 

井上陽水「少年時代」

「少年時代」は、井上陽水のヒット曲のなかで、最もカバーされている一曲です。

もともとは、1990年に公開された映画「少年時代」のテーマ曲で、原作者の漫画家・藤子不二雄(A)が、友人である井上陽水に直接作曲を依頼しました。翌年、デジタルビデオカメラのCMで使われてから一気にブレイクし、1997年にはミリオンセラーに認定されました。その後も世代を超えて愛さるロングヒット曲として、これまでに20人以上ものミュージシャンにカバーされてきています。

聞けばだれもが子どもだった頃の夏休みの風景が目に浮かぶと同時に、日本語の不思議で美しい使われ方を今も新鮮に感じる、まさに夏に聞きたい曲の定番です。

ちなみに、歌詞に出てくる「風あざみ」や「宵かがり」などは、そのものが実在しない、井上陽水によって創作された言葉なのです。歌う際に、母音をメロディにのせやすい語感を生かした、井上陽水ならではのまさに天才技とも言えるみごとなクリエイティブの一端です。

好奇心旺盛な小学生が気づいて疑問に思ったり、家族で聞く際に話題になったりしたら、そのことにも触れて盛り上がれるでしょう。

 

THE BOOM「島唄」

沖縄といえばエメラルドの海、南国ムード溢れる夏のリゾートをイメージさせます。そんな沖縄や奄美諸島で、古来、三線(さんしん)と共に歌われる民謡を島唄と呼びますが、1993年に大ヒットした「島唄」は、沖縄の歴史が織り込まれた夏にこそ聞きたい曲です。

THE BOOMは1986年に結成されたロックバンドで、当時は原宿の歩行者天国でのライブ活動に集う、躍動的なパフォーマンスが有名なバンドの一つでした。1989年にメジャーデビュー。リーダーで作詞・作曲の宮沢和史は山梨県出身で、1990年に発表した3枚目のアルバム「JAPANESKA」からは、音楽性の幅を民族音楽へもひろげていきます。

1992年に琉球音階を採り入れた「島唄」を9枚目のシングルとして発表。これは沖縄の方言、ウチナーグチで歌われたもので、沖縄県内限定のCMタイアップ曲でもありました。ヒットの手応えから、翌年には標準語の「島唄(オリジナル・ヴァージョン)」を11枚目のシングルとして全国的に発表するとミリオンセラーとなり、THE BOOMと「島唄」は一躍、有名になります。

その後、2002年にはアルゼンチンで日本語のままカバーされ大ヒット。まさに海を渡り、世代を超えて愛される曲となりました。

初夏に咲くデイゴの真紅の花やウージ(サトウキビ)の深い緑など、沖縄の美しい自然の風景に託された、戦争による苦しみの記憶を、永遠の平和を願う歌に昇華させた「島唄」は、これからも歌い継がれていくでしょう。