梅雨から夏にかけて注意したい【食中毒】
ムシムシ ジメジメ 嫌~な梅雨。
この季節、注意したいものも一つに食中毒があります。
「食中毒」は、大きく分けて下記の3つがあります。
●細菌性食中毒
カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、サルモネラなどの食中毒菌が、食品の中に混入したことによって起こる。
●ウイルス性食中毒
ノロウイルスなどのウイルスが蓄積している食品を飲食したり、人の手を介したりすることで起こる。
●自然毒食中毒
フグや毒キノコなど、動物性・植物性の毒によって起こる。
梅雨の時期から増えるのは「細菌性の食中毒」
ノロウイルスをはじめとする「ウイルス性の食中毒」が冬シーズンに増えるのに対し、
ちょうど6月の梅雨の頃から増えてくるのが「細菌性の食中毒」です。
梅雨は水分が豊富で、気温が高く、細菌の活動にとっては絶好のチャンス!
さらに、食品の有機物汚れ、調理器具に付いた食品汚れがあれば、それを栄養にドンドン増殖していきます。
6月以降に増える「細菌性の食中毒」で多かったのは、カンピロバクター、ブドウ球菌、ウェルシュ菌の3種類。それぞれの特徴をみてみましょう。
カンピロバクター
原因食品 鶏肉(刺身・たたき、加熱不足のもの)、牛生レバー
主な症状 下痢、腹痛、おう吐、発熱、頭痛、悪寒など
潜伏期間 2~5日
特徴 空気にさらされると死滅するが、10℃以下の所では生き続ける。
ブドウ球菌
原因食品 おにぎり、弁当類、菓子類など。
主な症状 おう吐、悪寒など。通常24時間以内に症状は改善する。
潜伏期間 0.5~6時間
特徴 熱や乾燥に強く、酸性やアルカリ性の強い所でも増殖する。
ウェルシュ菌
原因食品 肉類や魚介類を使った食品など。
主な症状 腹痛、下痢、吐き気など。
潜伏期間 6~18時間
特徴 空気の無い所を好む。大量の食材を調理するときに起こりがち。
食中毒菌を『つけない』『増やさない』『やっつける』
食中毒予防の原則は、食中毒菌を『つけない』『増やさない』『やっつける』です。
『つけない』・・・洗浄、分ける
食中毒菌をつけないために大切なのは洗浄です。
調理の前には石鹸を使い、爪の間や手首まで丁寧に手を洗いましょう。
料理の途中にも、レシピサイトを見るのにスマホを触ったりしたら手洗いを。
肉や魚を切った包丁やまな板も、そのつどきちんと洗浄します。
できれは、肉用、魚用、野菜用など、調理器具や洗浄のスポンジを分けることをおすすめします。
『増やさない』・・・冷却
冷却をしても、細菌が死滅するわけではありません。
でも、増やさないためには有効です。
細菌の多くは10℃以下で増殖のペースがゆっくりとなり、マイナス15℃以下で増殖が停止します。
肉や魚、野菜などの生鮮食品を買って帰ったら、すぐに冷蔵庫に入れてください。
また、冷蔵庫のドアを頻繁に開け閉めしたら庫内の温度があがってしまい、食品を詰め込み過ぎると庫内の温度がなかなか下がらないので注意しましょう。
『やっつける』・・・加熱
細菌や毒素の種類によって異なりますが、 一般的に75度以上の環境で1分以上加熱すると、ほとんどの細菌は死滅します。
ただし、せっかく高温で調理しても、加熱後に長時間放置してしまうと、生き残った細菌が繁殖してしまう可能性があります。
作った料理は室温に放置せず、すぐに食べるか、冷蔵庫に保存しましょう。
熱に強いウェルシュ菌に注意!
『やっつける』で、「一般的に75度以上の環境で1分以上加熱すると、ほとんどの細菌は死滅します。」と書きましたが、
ウェルシュ菌は熱に強いのが特徴です。
100℃、6時間の加熱にも耐える”芽胞”を形成するウェルシュ菌は、通常の加熱では死滅せず、発育に適した温度まで下がると発芽して急速に増殖を始めるのです。
作った料理はすぐに食べきるのが良いですが、
カレーやシチューなど一度に大量に調理し、やむを得ず保存する場合には、ウェルシュ菌の発育しやすい温度を長く保たないよう小分けにして急速に冷却して、
できるだけ早めに食べきるようにします。
下痢止めを飲んではダメ!
食中毒で下痢を起こしている時に「下痢止め薬」を飲むのはNG。
下痢止めを飲むと原因菌がいつまでも体内にとどまることになるからです。
脱水を起こさないように経口補水液などで、水や塩分、糖分などをとりましょう。
また、おう吐を伴う場合は、仰向けではなく、横向きの吐きやすい体位に。
仰向けに寝ると、おう吐物が気道に詰まり、窒息してしまう恐れがあります。
食中毒は、重症化すると死に至るケースもあります。
症状が疑われたら早めに医療機関へ行きましょう。