「水害に強い家」を建てる/今からでもできる水害対策

「100年に一度の豪雨」

ごく稀に起こりうる豪雨といった意味だったはずが、今やすぐ身近な脅威となっています。100年に一度は明日やってくるかもしれません。

では、そんな水害から家族や住宅を守るためにはどうすればいいのでしょうか。

 

水害を受けにくい場所を選ぶ

ハザードマップの画像です

水害から大切な家族や家を守るためには、住む場所を選ぶことが大切です。

河川の近くは堤防の決壊などの危険がありますし、多少河川から離れていても低い土地だと浸水の心配があるでしょう。

都市であっても降雨量に排水機能が追い付かず水があふれてしまうことがあります。

 

そうした場所ごとの危険度は、自治体が発表している「ハザードマップ」で知ることができます。

ハザードマップを確認してできるだけ安全な地域に住むということが、水害に遭わないための一つの手段となるでしょう。

 

でも安全な土地ということだけで住む場所を選ぶわけにもいきませんよね。しかも、安全だと言われていても何が起こるかわからないのが近年の状況です。

自分の住みたい場所があればその土地の状況をよく知り、それに見合った対策をすることが大切なのです。

 

また、ハザードマップには避難場所や避難経路なども掲載されていますので、予め非難についても確認しておきましょう。

 

「水害に強い家」を建てる

水害のイメージ画像です

住宅の安全性能といえば「耐震性」、つまり、地震に強いことが求められてきましたが、「水害に強い」というのも安全性能の一つとして重視しなければならないのではないでしょうか。

それでは、具体的に「水害に強い家」とはどのようなものでしょう。

 

地盤を高くする

一つ目は盛り土により敷地全体を高くする方法です。

特に周囲の家や道が自分の土地よりも高くなっている場合には、是非ともやっておくべきです。

また、鉄筋コンクリート造の基礎を高くし、想定される水位よりも床の位置を高くするという方法もあります。

ただ、住宅地では、隣家の日当たりを妨げないよう屋根の高度制限がありますので、地盤や基礎のかさ上げをする際には周囲の状況をよく考慮して着工しましょう。

 

高床式にする

1階部分を柱のみの空間(ピロティ構造)にして駐車場などに使用すると、生活空間が水に浸かってしまうことが防げます。

被害を少なくするという意味では、日常生活に必要なものが集中するリビングを2階に配置するという方法も有効でしょう。2階への垂直避難をした際にも飲料水や食糧があると安心ですよね。

また、エアコンの室外機や給湯器、室内のコンセントを想定される水位よりも高い位置に設置しておくと設備機器を守ることができます。

 

防水塀で家を囲む

敷地外からの浸水を防ぐためには防水性のある塀で住宅を囲むという方法があります。

その際、駐車場などの開口部には防水性のある門扉を設置しましょう。

 

「耐水害住宅」の開発も

大手住宅メーカーでは「耐水害住宅」の開発が進められ、大型降雨実験施設での実験も行われています。

この「耐水害住宅」では玄関ドアや窓ガラスの隙間から水が入らないよう、そこにパッキンを取り付けたほか、壁面には防水塗料・シートを使用。

窓には水圧に耐えられるよう強化ガラスを採用しています。

床下の換気口は水位が上昇すると自然に閉じるようになっており、トイレや風呂などの排水管には逆流防止弁を付けました。

今後は他の住宅メーカーでもこのような耐水害住宅の開発が行われるでしょう。

 

今からでもできる水害対策

土のうの画像です

今すぐ水害を受けにくい場所に引っ越したり、「耐水害住宅」にリフォームしたりというのは難しいですよね。

でも、どの家庭でも今すぐ準備できる水害対策はあります。

 

土のう・水のう

水害のニュースなどで目にすることの多い土のう。玄関などからの水の侵入を防ぐためによく使われますよね。ただ、一般の家庭であらかじめ用意しておくのは大変です。

そういった場合に活躍するのが、土を水に置き換えた水のうです。

普段使用する45ℓのポリ袋を重ねて丈夫にし、半分くらいまで水を入れたら空気を抜いてしっかりと口を縛って完成。

外からの水の侵入を防ぐ場合には水のうを段ボール箱に入れて積むとより頑丈になります。

 

また水害発生時の、排水の逆流を防ぎたいときにも、この水のうは役立ちます。

トイレの便器の中や浴室、浴槽、洗面台、シンクの排水口の上などに置いておくと安心です。洗濯機も排水パイプを抜き水のうで排水口をふさぐといいでしょう。

 

雨どいや排水路のチェック

雨どいや排水路に落ち葉や砂が詰まっていると、大雨が降った時に水があふれ敷地内に流れ込んでしまいます。また、雨水枡がゴミなどで塞がれていると、敷地や道路が冠水する恐れも。

日ごろから点検や清掃を行い水害に備えましょう。

 

まとめ

水害に強い家や今からでもできる水害対策についてご紹介しましたが、自分や家族の命を守るためには早めの避難が大切です。

自治体から避難勧告や避難指示などが出された時には「うちは大丈夫だろう」とは思わず、速やかに避難しましょう。

大雨が収まった地域でも上流に降った雨による災害が後から発生する場合もあります。

最新の情報を確認しながら念には念を入れた対策を心掛けたいものです。