GPT-4とは?性能情報+使ってみた結果まとめ|3.5・ChatGPTとの違いまで解説します
文章生成AIの急先鋒的存在「GPT」。
その中でも最新モデルである「GPT-4」がついに登場しましたが、その性能は本当に画期的なのでしょうか?
ChatGPTが画期的な発明と言われている中、この中に入っていたのは従来「GPT-3」そして「GPT-3.5(turbo)」と呼ばれるものであり、現在GPT-4は
- ChatGPTの有料ユーザー
- OpenAIのいわゆる課金ユーザーのうちPlaygroundで使用するユーザー
- OpenAIからアーリーアクセス権限を与えられ、APIでGPT-4エンドポイントが使えるユーザー
に限られているなど(2023年5月上旬現在)、まだまだ情報が少ないのが実際のところ。
そこでこの記事ではGPT-4のAPIアクセスを得ている筆者がその概要や特徴、前モデルであるGPT-3・ChatGPTとの違い、APIアーリーアクセスでの活用法や技術的な進歩、そして将来性について詳しく解説します。
一緒にGPT-4を探究し、その可能性を引き出す方法を見つけていきましょう!
GPT-4の概要と主な特徴
GPT-4は、性能として「gpt-3・3.5では医師の試験に合格できないが、GPT-4なら合格点が取れる」とも評されるほどの推論力である旨が様々なところでささやかれています。
この章ではまず、GPT-4の基本情報や言語モデルとしての能力について解説します。
GPT-4の基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
開発者 | OpenAI |
訓練データ | 人間のフィードバックを含む大量のデータ パラメーター数は非公開だがgpt-3.5の数倍以上と推定される |
訓練プラットフォーム | Microsoft Azure AIスーパーコンピュータ |
主な機能と改善点 | 論理的推論と命令遵守の能力が向上 GPT-3.5に比べて事実に基づく応答が40%増加 |
使用例 | Duolingo、Be My Eyes、Stripe、Morgan Stanley、Khan Academy、アイスランド政府などがGPT-4を使用して製品を開発 |
提供形態 | ChatGPT PlusおよびAPI(※)として提供 ※API(8k tokensモデルおよび32k tokensモデル)は一部ユーザーへ先行開放中。 |
現状の留意点 | 社会的バイアス、幻覚(ハルシネーション)、敵対的なプロンプト(プロンプト・インジェクション)への対策など、まだ解決しきれていない問題も存在する |
GPT-4は、OpenAIによって開発された最新の大規模な言語モデルで、文章生成、概要作成、質問回答などのタスクに使用することができます。
過去のモデルと比較して、GPT-4はさらにパワフルな自然言語処理能力を持っており、より自然な文章生成や高い精度の情報提供が可能です。
GPT-4の言語モデルとしての能力
GPT-4は、自然言語処理性能が向上したことにより、より自然で理解しやすい文章生成が可能です。
また、より正確な文脈把握や適切な回答・情報提供ができる点も魅力的です。具体的には以下の点が挙げられます。
・【入力の部】GPT-4は、入力された文章の文脈を正確に把握することができ、その結果適切な回答や情報提供が可能です。
・【出力の部】過去のモデルと比べてGPT-4はより自然な文章生成ができるため、読み手にとって理解しやすくなっています(特に日本語環境で顕著)。
以上のように、GPT-4はその性能と特徴により、これまでの言語モデルでは難しかったさまざまなタスクに対応できるようになっています。
例えば旧来のモデル(といってもまだまだ現役ですし、進化のスピードが尋常でないため、旧来というのも筆者としてはどうかと思うのですが…)であれば
「〇〇(※ここに相手の名前入る)さんに明日の会議の時間を問い合わせるメッセージを書いて。名義は山田(私)として書いて。相手は鈴木さん、田代さん、三谷さん、吉田さん。それぞれの文章を書いて。」とお願いした場合、以下のような回答が出ることも実際には多く、ユーザーをやきもきさせたものです。
「〇〇(※ここに相手の名前入る)様、こんにちは。大規模言語モデルGPTが山田として書いています。〇〇(※ここに相手の名前入る)様、明日の会議ですが、お時間はどうされますでしょうか。鈴木さん、田代さん、三谷さん、吉田さんに聞いていただけますか。よろしくお願いします。 GPT」
これでは、実際には全く使い物になりません。こうしたことが旧モデルではよく起こっていました。
次の章では、GPT-4がどのように進化したのか、そしてその違いについて解説していきます。
GPT-4の進化がやばい!前モデルとの違いは?
GPT-4は、その前モデルであるGPT-3やChatGPT(3.5-turbo)と比較して、更にパワーアップした進化を遂げています。この章では、GPT-4がどのような点で進化したのか、前モデルとの違いを詳しく解説します。
GPT-3・ChatGPTとの比較
まずは、GPT-3やChatGPTとの違いを理解することで、GPT-4の進化を明らかにします。
GPT-3との違い
GPT-3は、その前モデルであるGPT-2と比べて大幅に性能が向上していましたが、やはり実用の部分では難しいところがあった、というのが実際のところです。
この点につき、GPT-4では更なる進化を遂げています。
具体的には、学習データの量や質が大幅に向上し、文章生成の精度が増している点が挙げられます。また、GPT-4は前モデルと比較しても文脈をより正確に理解し、適切な回答や情報提供が可能となっています。
ChatGPT(3.5-turbo)との違い
ChatGPT(3.5-turbo)はGPT-3が旧来「Completion」(文章補完・続きを書く)がメインの用途だったところに突如として登場した「対話型インターフェースであり、推論速度もGpt-3とは比較にならないほど早い」といったモデルです。
会話向けにチューニングされていることから質が向上しているモデルですが、GPT-4ではさらなる進歩が見られます。GPT-4では、モデルの学習方法やデータセットの改善が行われており、より高い性能と精度を持っています。
これにより、GPT-4はChatGPTよりもより自然で、かつ正確な会話が可能となっています。
※ただし3.5 turboよりも推論は非常に遅く、現在のChatGPTにおけるGPT-4の推論速度は「2023年1月頃に大流行した初代ChatGPTにおけるgpt-3程度」といってよいでしょう。
GPT-4で解決された課題
GPT-4では、過去のモデルでの文脈把握の課題を改善し、生成される文章の一貫性や信頼性が向上しています。具体的には以下のような点が改善されています。
1.過去のモデルでの文脈把握の課題を改善
文脈をより正確に理解できるようになっており、適切な回答や情報提供が可能となっています。
なお、2023年5月10日現在のところ、GPT-4の注目機能として評判になったマルチモーダル(画像もインプットに含められる)機能は正式にはリリースされておらず、こうしたマルチモーダルを使用しているサードパーティ製のサービスは別途、画像を読み込み分析するモジュールを「噛ませている」と考えられます。
2.生成される文章の一貫性や信頼性が向上
より自然で、かつ一貫した文章を生成することができ、その信頼性も向上しています。
旧来モデルの場合、話の流れがところどころ飛躍したり、あるいは同じ内容を延々繰り返してしまうケースもありましたが現在は相当程度に解消されているといってよいでしょう。
3.ハルシネーションも一定の範囲で押さえられている
GPT-3などの前モデルでは、ハルシネーション(架空の情報や回答を生成してしまう現象)が問題視されていましたが、GPT-4ではそれが一定の範囲で抑えられています。
これらの点から、GPT-4は前モデルと比較して格段の進化を遂げており、その違いが明らかになっています。今後はGPT-4を利用したさらなる応用やサービスの開発が期待されます。
GPT-4のAPIアーリーアクセスと活用法
GPT-4のAPIアーリーアクセスを利用することで、独自のアプリケーションにGPT-4の高度な機能を組み込むことができます。この章では、APIアーリーアクセスの概要や、GPT-4を用いた事例について詳しく解説していきます。
APIアーリーアクセスの概要
GPT-4のAPIアーリーアクセスは、開発者がGPT-4の機能を独自のアプリケーションに組み込むことができるプログラムです。利用するためには、OpenAIが提供するAPIキー(無料クレジット分は対象外であることに注意が必要です)が必要となり、料金プランや使用制限が設定されています。
詳細な料金プランや利用に関する情報は、OpenAIの公式ウェブサイトによると以下のとおり。
モデルの種類 | 計算単位 | 価格(ドル) | 価格(円) |
---|---|---|---|
8k context lengths(いわゆる8kコンテクストモデル) | 入力1,000トークンあたり | $0.03 | 約3.24円 |
8k context lengths(いわゆる8kコンテクストモデル) | 出力1,000トークンあたり | $0.06 | 約8.16円 |
32k context lengths(いわゆる32kコンテクストモデル) | 入力1,000トークンあたり | $0.06 | 約8.16円 |
32k context lengths (いわゆる32kコンテクストモデル) | 出力1,000トークンあたり | $0.12 | 約16.33円 |
GPT-4(API)を活用した事例
現在、さまざまな業界でGPT-4のAPIアーリーアクセスが活用されており、代表的な事例には以下のようなものがあります。
1.カスタマーサポート
顧客からの質問や要望に対する回答を自動生成することができます。これにより、効率的で正確なカスタマーサポートが可能となり、顧客満足度の向上や運用コストの削減が期待されています。
GPT-3.5までは「こんなの怖くて使えるか!」という声もありましたが、GPT-4の場合はこうしたリスクも低減されています。(ただしまだ不正確な情報が出ることもあるため、一定程度の人力対応も必要です)
2.教育分野
教材の作成や学習アシスタントとして活用されています。
例えば、質問に対する回答の自動生成や、適切な学習資料の提案が可能であり、教育の質や効率の向上が期待されています。
3.チャットボット
カスタマーサポート以外にもGPT-4を使用したチャットボットが開発されており、中には、まるでドラマや映画のようにAIと音声で会話できるようなサービスも海外を中心にリリースされはじめています。
4.文書作成ツール
GPT-4は、記事作成や概要作成などの文書作成タスクにも活用されています。
特に日本語に若干弱い、と言われていたGPTですがGPT4の世代になってから語彙力も推論力も向上していることから、効率的で高品質なコンテンツ制作が期待されています。
(※なお、筆者が使用してみたところ絵文字の活用も問題なく行えました。)
以上のように、GPT-4(API)は多くの分野で活用されており、今後さらに新たな利用法が開発されることが予想されます。
GPT-4の技術的な進歩と業界への影響
本章では、GPT-4の技術的な進歩について触れ、それが業界にどのような影響を与えるかについて解説します。
技術的な進歩のポイントについては、より大規模なデータセットでの学習や最適化されたアルゴリズム・アーキテクチャの向上による効率的な学習・高速な推論が挙げられます。
また、業界への影響としては、新たなビジネスやサービスの増加、コンテンツ制作やコミュニケーションの質向上が予想されます。
技術的な進歩のポイント
GPT-4の技術的な進歩における重要なポイントは、以下の通りです。
まず、従来のモデルと比して大規模なデータセットで学習が行われています。
つまり大量のデータを学習することで、多様な表現やニュアンスを理解し、応用することが可能になっているのです。
また、GPT-4は最適化されたアルゴリズムとアーキテクチャを採用しています。これにより、効率的な学習と(AIモデルとしては比較的に)高速な推論が実現されており、リアルタイムでの会話や文章生成が可能となっています。
業界への影響
GPT-4の技術的な進歩により、多くの業界が影響を受けることが予想されます。
以下にその主な影響をご紹介します。
※ここで「おことわり」を挟んでおきます。
この記事は2023年5月10日時点の情報に基いて執筆されていますが、生成AI関係の情報は専門家でも理解が追いつかないほど進化・変化が急激であり「今週起きたことが来週には過去の古臭い話になっている」といったこともしばしばあります。ここを踏まえて、続きをお読み頂ければ幸いです。
まず、AI技術を活用した新しいビジネスやサービスが増えることが予測されます。
まだまだGPT-4を活用したチャットボットや文書作成ツール、カスタマーサポートや教育分野など、幅広いアプリケーションが登場してくることでしょう。これにより、より効率的で高品質なサービスが提供されるようになります。
また、GPT-4は人間の創造力を拡張し、より高品質なコンテンツ制作や効率的なコミュニケーションが可能になります。
例えば、ライターやデザイナーがGPT-4を利用してアイデアを生成したり、より自然な文章を生成したりすることができるようになるでしょう。
これにより、クリエイティブな仕事においても、人間とAIが協力しながらさらなる高みを目指すことが期待できます。
GPT-4の技術的な進歩は、まだまだ途中であり、今後も研究や開発が進むことにより、さらなる進化や性能向上が期待されています。これからも目が離せないGPT-4の動向に注目しましょう。
GPT-4の将来性とその展望
GPT-4の技術がどのように進化し、産業分野にどのような影響をもたらすか、今後の可能性や展望を詳しく検討します。さらなる機能追加や性能向上が期待されるだけでなく、他のAI分野やアプリケーションにも応用できる可能性があります。
GPT-4の技術進歩の可能性
今後の研究や開発によって、GPT-4はさらに進化し、新たな機能や性能向上が期待されます。
例えば、より広範囲の言語対応や、さらなる文脈把握の精度向上などが考えられます。
また、GPT-4は他のAI分野やアプリケーションにも応用される可能性があります。
例えば、画像や動画の解析・生成技術への応用や、音声認識技術の向上に役立てられるかもしれず、むしろすでに「Text-to-〇〇」が一般化しつつあります。
GPT-4がもたらす未来
GPT-4は、多くの産業分野に影響を与え、効率化やイノベーションを促すことが予測されます。
例えば、製造業や物流業界での効率的な業務改善や、金融業界でのリスク管理・分析業務の助けとして利用されることが想定されますよね。
人間が持つ創造力とAIの能力を組み合わせることで、従来の方法では考えられなかったような新しいサービスやソリューションが生まれる可能性も十分にあります。
また、教育分野においてもGPT-4の活用が期待されます。より質の高い教材や学習プログラムの開発に役立てられるだけでなく、オンライン教育での学習効果の向上や、学生の個々のニーズに合わせたカリキュラムの提供が可能になるでしょう。
さらに高い推論力によって病院や医療機関での診断や治療計画のサポート、研究開発におけるデータ解析や新たな発見の促進など、様々な分野での活用が期待されます。
総括するとGPT-4の技術進歩は、私たちの生活や働き方、さらには社会全体に大きな変化をもたらすことが予想されます。そのため、適切な技術の活用方法や倫理観を持って取り組むことが重要となり、関連する法整備や教育の充実が求められます。今後のGPT-4の発展により、私たちがまだ想像できないような未来が待っているかもしれませんね!
まとめ
本記事では、GPT-4について詳しく解説しました。その概要や主な特徴、前モデルとの違い、APIアーリーアクセスと活用法、技術的な進歩と業界への影響、さらにその将来性と展望までを網羅してきました。
結果、GPT-4は、既存のAI技術を超える性能を持ち、今後さらなる進化が期待されるため、これからの産業やビジネスにおいて非常に重要な役割を果たすことが予測されます。
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